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今月の仏教俳句歳時記

あたゝかに冬の日なたの寒き哉 〔鬼 貫〕

 「あたたかに」と書き出して「寒き哉」で結ぶのは、初めと終りが反対ではないかと思われそうです。
 しかしこの矛盾していると見える所が、実は本当であるところに、冬の日の微妙な感じがうまく表現されています。
 冬の日向のあたたさは寒さと隣合わせで、春や秋の日なたとは違います。冬は寒い。でも寒いながらも日向のあるところは暖かい。とはいえ、暖かいといってもそれは日の当たっている所だけで、少しでも日陰に入ると寒く感じます。
 つまり矛盾しているのは言葉の方ではなく、寒暖が同居している冬の日にあるわけです。
 これは人生についてもいえることで、楽と苦、福と禍、生と死など相反するものが実は同居しているのです。      

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