過去のお知らせ

今月の仏教俳句歳時記

花よりも鼻に在りける匂ひ哉 〔守 武〕

 花には香りがあるといっても、それは結局、鼻で嗅ぐから匂うのだという意味ですが、おわかりのように、「花」と「鼻」を洒落て言ったところに面白さがあります。
 仏教では、感覚や意識を生じる働きを、眼・耳・鼻・舌・身・意の六つに分け、六根(ろっこん)といいます。またその六つの器官のそれぞれの対象となるものを、色・声・香・味・触・法に分け、六境(ろっきょう)といいます。
 六根の「鼻」が、六境の「香」を認識するから、花は匂うのですが、また六境(外界の対象物)はしばしば心を惑わし、欲望をつのらせたりするので、六塵(ろくじん)ともいわれます。
 仏教は、心や精神的な働きこそ本質的なものと考えますから、鼻のはたらきがなければ花の香りもないというのは当たり前といえるでしょう。      

バックナンバー