今月の仏教俳句歳時記

風に乗つて軽くのし行く燕かな  夏目漱石

 「軽くのし行く」という表現に、つばめが空にアイロンをかけて空気をスーッと伸ばしていくような趣が感じられます。「のす」は伸びる、のび広げるという意味で、しわをのばす、薄くのばすこと。燕が曲線を描いて軽やかに空を飛ぶさまが、うまく表されています。
 次も漱石の句です。
 思ふこと只一筋に燕かな
 ついでに、燕に関する俗信を紹介しましょう。
「燕が低く飛べば雨降る」
「燕が巣を作るとその家は繁盛する」
「燕の巣を取れば貧乏になる」
 では、「蝙蝠が燕を笑う」という諺の意味は?
 自分の欠点に気づかず、他人の似たような欠点を笑うこと。「目糞が鼻糞を笑う」と同じです。
     

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