大黒天神法〈中院・三憲/私記〉

価格(税込)
9,504

編著
北野 宥範(編)
体裁
折本(160114ミリ)、緞子装本、167頁
ISBN
978-4-88414-156-1
発行日
2014年02月

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本書について

 三大天部尊の中、特に福徳の功徳に勝れる大黒天神の供養法。一夜千座法等の小作法も併載。修法の便に配慮して編纂する。

摩訶迦羅としての大黒天神

 大黒天については『薄造紙』袖書に「二臂求福・六臂闘戦」とあるように、財徳を司る神(二臂)と破壊戦闘神(六臂)あるいは冥府神としての尊格がある。 これはインド伝来の〈摩訶迦羅〉の性質によるもので、すなわち財福神としての性質は、摩訶迦羅が生育の神であるヴィシュヌの化身とされることからきており、破壊戦闘神あるいは冥府神の性質は、「摩訶迦羅=大暗黒」という字義に由来している。ただし、本次第の本尊は道場観にあるように二臂の財福神であり、修法の趣旨は薄造紙にある「求福」を第一とすることはいうまでもない。
 すなわち、その福徳の利益によって百食の配膳を五百の僧に供したという大黒天神の功徳力を請来せんとするのである。

大黒天神法について(「解説」より抜粋)

【大黒天神の形像】
 六臂の形像としてよく知られるのは胎蔵曼荼羅外院の三面六臂の図で、前の右手に剣を執って左手は剣の先を支え、次の右手には人の髻、左手に羊の角を執り、第三の両手で象皮を拡げて被る忿怒像であり、戦闘神としての尊格をよく表している。
 一方、いわゆる大黒頭巾を冠り、左手に大袋、右手に打出の小槌を持つ、ふくよかな福相の姿が一般に流布しているが、これはあくまでも財福神としての性格が誇張され(過ぎ)た後世のイメージによるもので、左手に大なる袋を持つのはいいとしても、右手は道場観の如く拳にして右の腰に着けるのが正統の形像である。また狩衣についても「裙は短く袖は細く」とあるように通常の狩衣とは違っている。

【現世利益と密教の行法】
 檀信徒に現世利益としての財福を与えんとの祈願の趣旨からすれば、一般に流布する福々しい形像の本尊を観想したくもなるが、一方、密教における現世利益とは、本来的には有相を無相へと転ずるための方便であることを鑑みれば、忿怒尊としての尊格も忘れるべきではない。さらにまた、摩訶迦羅の〈迦羅〉には「黒」のほかに「時」を表す意味もあり、『理趣釈経下』には「摩訶迦羅は大時の義、時は三世無障礙の義を謂う」とあることも心得ておくべきである。

【大黒天神小作法について】
 『摩訶迦羅天一時千座頓成法』以下の小作法は、いずれもよく知られたものだが、記述に関しては師伝を交えつつ編者なりに工夫した部分もある。