弘法大師御影の秘密

価格(税込)
3,024

編著
山路天酬(著)
体裁
菊判変形(190×152ミリ)、190頁
ISBN
9784-88414-121-9
発行日
2011年04月
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本書について

 大師御影に託された切なる御誓願とは何か? これまで誰も触れなかった御影の秘密をいま解き明かす。
 われわれ末徒は、高祖大師の御影が語りかける意味を、等閑(なおざり)にしてきたのではないか? 大師を敬慕してやまない著者が秘密の奥処(おくが)へと誘(いざな)います。

本書の目次

弘法大師の御影/真如親王の根本御影/根本御影は原画なるか/尊容のこと/法衣のこと/五鈷杵のこと/念珠のこと/御椅子のこと/御木履のこと/水瓶のこと/根本御影の秘密/「空海」という名の秘密

一部抜粋

 真言宗の僧侶が集まれば、何をするにもまずはお大師さまの御影に礼拝します。またお遍路さんの掛け軸や集印帳にも、必ずお大師さまの御影が描かれています。にもかかわらず、私たちは正しい御影について、また御影に描かれたひとつひとつの意味について、何も教えられてはおりません。これでは、お大師さまの入定留身(にゅうじょうるしん)のご誓願について、何も知らないことになるのであります。
 信仰は崇拝する対象が絶対的であらねばなりません。そうでなければ、信仰そのものに根底から問題が生じることになります。お大師さまのご尊顔、ご着用の法衣、お座りの牀座(しょうざ)、そのほか両手の仏具等についても、よく学んでおく必要があるのでございます。それによって、入定留身のご誓願がよく理解され、いよいよ深くお大師さまを崇拝することができましょう。いつも身近に接していても、なかなか聞くことのないお大師さまのご御影について、これからゆっくりとお話したいのであります。〔中略〕
 きわめて重要なことは、お大師さまはご入定に関しましては、ごく側近の弟子を除いては誰にも語らなかったはずであるということであります。したがいまして、文献の上でこれを考証するならば、疑問を呈するは当然であります。また、文献に明記される境界に過ぎないなら、かくものお大師さまとはならなかったはずであります。〔中略〕
 私は「空海」という名の中に、もうひとつの秘名があることを確信したのであります。空海とは「空と海」ではなく、「空の海」なのであり、「雲海」を表示するのであります。霊山の雲海を好み、雲海での念誦を好み、雲海より虚空に冥合する真言の僧という意味であります。お大師さまの発想はすべての存在を対比させるのではなく、矛盾のままに合一させ、同化させるからであります。空と海というふたつの対比を止揚(しよう)させつつ、雲海という境界に引入させるのであります。これが真言密教の「不二」の発想であります。〔後略〕