[佛事百般釈義問答] 谷響集―抄訳

価格(税込)
7,344

編著
泊如 運敞(講述)
体裁
A5判、上製、332頁
ISBN
978-4-916012-90-9

本書について

 本書は『寂照堂谷響集』の抄訳である。
 原著は、泊如運敞(はくにょうんしょう)が、智山第七世能化を辞して寂照堂に隠棲しているときに、来客の質疑に応じて説いたものを侍者に筆録させて成ったもので、十巻に合本され、自序にあるように元「対客談叢」と題していたが、元禄二年(1689)の刊行に際して、選者自ら『谷響集(こっこうしゅう)』と命名して世に知られるところとなった。
 本書は、原著の全680項目の内、400余を摘録し、関連する項目は一つにするなどして368項目にまとめて訳出したものである。訳文については典拠の引用は読み下し文に、その他の文は現代文に訳した。また語注やルビを施し、分かりやすさに重きをおいて編纂した。
*谷響=こだま

泊如 運敞とは

  • 慶長19(1614)年摂津に生れる。幼にして理智に長じ16歳で得度、智積院にて顕密両学を究む。また南都に遊学して三論法相華厳を修め、比叡山では天台の教観を学ぶ。
  • 48歳で智積院第七世能化職に就く。
  • 69歳にて退隠以降は著作に従事し詩文を楽しむ。『谷響集』はその折、師の博識碩学を頼って参じた諸師の質疑への解答を一本に編んだもの。
  • 元禄6(1693)年示寂。
  • 問答368項目の抄出

    一、仏・菩薩・明王・天・神―全67項
    諸仏の常法(一)―善来比丘の意味/諸仏の常法(二)―天上天下唯我独尊/仏菩薩の手は長いこと/仏はどんな唇をしているか/頻婆果はどんな果実か/仏三十二相の馬陰蔵相とは/世尊の明星大悟/仏一代の説法の数/仏出世最初の伽藍/仏涅槃の頭北面西の因縁/涅槃は梵語にあらず?/仏涅槃のとき双林に来なかったもの/両足尊の意味/仏を一人当千という理由/仏は法界の外にあり/釈尊の脇侍/なぜ弥陀の利剣というのか/仏頂尊に多種あること/菩薩の涙は四大海の水よりも多し/弥勒下生の時/龍華三会/十一面観音の十一面は何をあらわすか/準胝は観音か仏母か/なぜ文殊を法王子というか/食堂に文殊を上座する因縁/文殊の前三後三の公案/文殊は摩尼宝積仏であるということ/迦葉菩薩/文殊師利菩薩の生縁/仏教以外の諸宗の数/弥勒菩薩の生縁/虚空蔵菩薩の仏国土/六地蔵の形像/浴室の跋陀婆羅像/無言の童子とはだれか/般若菩薩の脇侍/不動明王の瑟瑟座とは/不動明王の羂索とは/不動明王の本誓と頌と偈/矜羯羅と制吒迦/軍荼利明王に三ある事/帝釈天に別名が多くある因縁/帝釈天の夫人、舎脂とは/帝釈天と阿修羅の闘い/四天王の名義と所領の二鬼の名/四天王の形像/毘沙門の那吒太子の因縁/毘沙門の五太子とは/那吒太子が仏舎利を道宣律師に授けたこと/毘沙門の八大薬叉/八方天の名称/辯才天の異名、妙音天/大黒天を厨房に祀るいわれ/捷疾鬼が仏舎利を盗んだこと/韋駄天/摩利支天の扇/工芸の神、毘首羯磨天/山門の金剛力士のいわれ/般若十六善神の神名/十六善神の形相/寿老人のいわれ/散支大将とは/倶生神とは/一昼夜を司る神、三十六禽/荒神/天人は人間の臭気をきらうこと/慈力王が餓えた夜叉に血を施したこと

    二、羅漢・高僧・比丘―全60項
    釈尊の四大弟子/仏の十大弟子/舎利弗と目連が競って神力を現したこと/天眼第一の阿那律が眼を壊した因縁/阿那律が天眼を得た因縁/阿難が鑰孔より入った因縁/阿難が恥ずべき二つのこと/阿難の涅槃の因縁/仏は剃髪しておられたか/須菩提の出生と出家の因縁/阿惟顔とは何か/十六羅漢のいわれ/諸弟子の特長/槃特と周利槃特/周利槃特の箒の因縁/周利槃特が愚鈍である因縁/槃特が臂を伸ばした因縁/賓頭盧の像を食堂に安ずる因縁/賓頭盧は王を迎え、稠禅師は寺を出たこと/賓頭盧の眉は面を覆うほど長い/薄拘羅尊者は頭痛を知らなかったこと/維摩居士は金粟如来の後身か/金粟の影/提婆達多が仏身を傷つけたこと/提婆が鐘を撃ち、陳那が石を裂いた因縁/耆婆と耆域/善財童子/童子迦葉/邪宗の人、布袋和尚の因縁/ジャイナ教、尼乾子の得度/均提沙弥とは/弥勒仏はお酒が好きだった?/豊干・寒山・拾得はどんな僧?/千歳の宝掌和尚/仏印禅師は弁舌さわやかであったこと/大唐の密教について/伝教大師/弘法大師/恵果和尚付法のこと/慧朗と慧(恵)果の優降/弘法大師の詩/実運僧都のこと/我が国の法華とは/何をもって僧の優劣を決めるか/仏門で名字を呼ぶのは非礼か/比丘の名の呼び方/僧が革靴を履いてもいい理由/僧が袈裟を着けなくていいとき/師の室に入るときの礼法/僧堂で嚔するときの礼法/出家者は末代まで餓死せず/出家は衣食を自分の力で得るにあらず/名刺におぼれる僧の話/袈裟を牛の尾に喩えること/寺に鶏・猪・猫・犬を養うことを許さず/立って大小便するべからず/六群比丘の名前と性質/二十歳で受戒する意味/浄土を浅視するものを戒む/童真とは

    三、経説・教義―全48項
    慧命と具寿のちがい/「草木国土悉皆成仏」の典拠/「諸悪莫作」の出典/七仏通戒偈/巧方便とは/煩悩即菩提/塵道世界とは/客塵煩悩の意味/塵労とは/五蘊と五取蘊のちがい/五盛陰苦の意味するもの/五陰と五盛陰/仏性は定慧を具足するとは/契経の意味/了義経と未了義経の区別/五摂論とは/遮情と表徳/摂真実経/二種類の底哩三昧耶経/大日経が爛脱である理由/明と真言のちがい/明をなぜ明妃というのか/説法に二種あるということ/四種の総持とは/九執の意味/法身偈の典拠は何か/「迷故三界城~」の偈の出典/阿利沙の偈とは/鳴鐘の偈/「一切日皆善」の偈/善劫と賢劫/布施の偈/心の師となり、心を師とせざれ/般若心経秘鍵の跋文は偽作か/法華を釈する四の意/法華経の声聞授記の是非/観経とは/三千威儀の数の意味/乗法師の問答/華厳無尽縁起の主伴具足とは/色即是空と色不異空の違い/機の意味/随喜回向の功徳/梵行の意味/さまざまな神通力/殺生しても罪を問われないとき/闡提を殺すは罪なし/地獄の鬼は衆生ではないこと

    四、仏事・祈祷・習俗―全41項
    経典を呉音で読む理由/声明の合殺の意味/金剛針菩薩と金剛鏁菩薩/蓮華坐と吉祥坐/十王経について/十三仏は誰が決めたか/地獄に棲む鳥、別都頓宜寿/招魂法の由来/招魂のはじまり/逆修の出典/墓は修理すべきではないこと/牛王宝印の由来/観音籤の起源/鬮のはじまり/庚申の由来/青面金剛/荼吉尼/勝軍地蔵の因縁/倶利伽羅/阿尾舎法とは何か/悪夢退散の咒/爆竹の由来/左義長の由来/歓喜丸と歓喜団/護符の起源/急急如律令とは/『穢跡金剛禁百変法門経』は偽経か/「九字の祝」は十字か/鬼門のいわれ/鬼門関/雷を避ける符文と真言/天狗の由来/延命地蔵経の真偽/天狗星/胎児の性別を知る方/厠の鬼/厠に上るときは弾指すべし/仙術は不老死を得ることができるか/断食は法にかなっているか/断塩の理由/油を食せば力を得ること

    五、譬喩・説話・ことわざ―全51項
    菩薩の大悲の譬え/仏性の譬え/父母を因縁とせずに生まれることの譬え/嫉妬は我が身をほろぼすの譬え/油断の語原/如法の譬え/空に執すればかえって空を離れる/仏に遇うことの稀れである譬え/如来の言葉は甚深難解なり/我執の譬え/無心の譬え/行道の譬え/強者の愚かしさの譬え/欲張りの譬え/布施・禅定・持戒の譬え/臆病な人は鬼を呼び寄せる/疑心暗鬼を生じた二人の比丘の話/志を守れば鬼は滅す/女の声は神通力を奪う/孝養のはじまり/元啓の孝行/贋僧が人をたぶらかす話/幽霊が詠んだ懺悔の詩/嫉妬が招く罪/愚か者とは/汗を流す仏像/賢瓶の利益/地獄で念仏して助かる話/羅刹の難を逃れた話/おのれの屍体を鞭打つ霊魂の話/臨終の心は猛健であるべきこと/臨終に悪念を生ずること/人を秤るには生は軽く死は重し/人の寿命は何によって決まるか/長寿の秘訣/多芸は無芸/若いうちに勉学すべし/他人の弓を挽かざれ/人の車に乗る者は人の患いに載る/言ったことは実行すべし/口はわざわいの本/不悪口の戒め/書芸に巧なるは労多し/よく泳ぐ者は溺れる/財は殻に過ぎたるは無し/乞う者を人は愛さず/師の影を踏まざれ/鹿を逐うもの山を見ず/聖人は夢を見ず/菩提水は何の隠語か/般若湯のいわれ

    六、名義・字義―全34項
    霊感の本義/経の外題の意味/卍字の意味/両門とは/甘露とは何か/近円の意味/法身塔とは/五鈷の鈷はどんな意味か/梵音の楚夏とは/梵志の意味/大姉のいわれ/夫人と太夫人のちがい/瘡門の意味/太平と昇平の意味/閻浮名提/聚落と村邑のちがい/随方毘尼の意味/支干とは/二十八宿の宿/北斗と南斗のちがい/宿留の音義/崑崙とは/筋斗の意味/驢年の意味/水を掬すれば月は手に在り/「鶏寒うして樹に上る」は本当か/遮莫の意味/二字を合わせて一語とする漢語/ソワカを「些」で表すこと/助字について/「那」は余語の声/「底」を「なに」と訓むとき/「向」の読みの使いわけ/「阿堵」はお金の隠語

    七、事物・雑事・知識―全67項
    仏舎利塔の因縁/日本の仏舎利塔の起源/法隆寺の仏舎利/駄都/如意珠の意味/数珠の数と種類/羯磨杵/弘法大師の健陀穀子の袈裟とは/伽羅香/沈香/藿香と兜婁婆香/麝香は香に用いるべきではない/薫陸香は用いるべきでないか/乳香とは/東大寺に伝わる名香、蘭奢侍/香篆とは/香象とは/灌頂に象炉を用いる理由/六牙の白象/経蔵のはじまり/相輪橖の由来/芽土の意味/社稷とは/華表と鳥居の違い/妙薬/蛇の毒を治す方/梅雨は傷あとを消す/虫が耳に入るのを治す方/出版のはじまり/筆の起源/物を観て筆法を悟ること/筆法の大事/用筆の法/墨を磨るときの用心/美しい硯は使いにくい/よい文章とは/文章に巧拙あること/詩作の大事/詩と歌、吟と謡の違い/音楽の効能/仏を画くときは膠を用いず/紙を接ぐ古法/誤字を訂正する方法/郭公と杜鵑/鳥の雌雄を見分ける方法/金鶏と石鶏/五更の意味/雷の火は火によって消すべしとは/雷神のすがた/雷は四大が遭遇してできること/電光の因縁/龍が黒い雨を降らした話/物が互いに引き合うの妙/茄の灰は好い香炭/金橘を保存する方法/花を遠くに送る方法/松が蓋うのを防ぐ方法/日本の花と中国の花/檳榔茶の功用/紫磨金の意味/金は塩で洗うべし/錬金を礬石をもって煮ること/熙連河と跋提河の分別/京官の位/諸使の意味/井戸を掘る方/枯れ井戸には毒あり