今月の仏教俳句歳時記

如意輪や鼾もかゝず春日影 其 角

 如意輪観音像には他の観音さまと大きく違う特徴があります。それは、片膝を立てて座り、六臂の手のひとつが頬杖をついている像が多いことです。
 この句は、如意輪観音が春の暖かい日差しの中で座っている姿は、まるで寝息を立てて眠っているように見えるくらいだ、というもの。
 もちろんこのポーズは、決してうたた寝などしているのではなく、六道の世界を迷う衆生をどうやって救済しようかと、常に思惟しておられる姿を表しているのです。
 西洋の彫刻でいえば、ロダンの「考える人」に少し似ています。しかしそれは人が何かを考えている時の、特徴的な姿勢をあらわしているだけで、如意輪観音像の、人間的な表情を超越した観想と静寂を感じることはできません。


     

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